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診療科の紹介

脳神経内科が取り組む新しいプロジェクト

脳卒中治療の最速化及び均てん化のためのX線CT搭載ドクターカーのインフラ構築
―The First MSU and MTU in Japan―

メンバー

研究代表者
廣木 昌彦(筑波メディカルセンター病院 脳神経内科)
三澤 雅樹(産業技術総合研究所 健康医工学研究部門 人工臓器研究グループ)

プロジェクトメンバー

河野 元嗣 公益財団法人筑波メディカルセンター筑波メディカルセンター病院救急診療科
栩木 愛登 公益財団法人筑波メディカルセンター筑波メディカルセンター病院救急診療科
加賀 和紀 公益財団法人筑波メディカルセンター筑波メディカルセンター病院放射線技術科
内田 里実 公益財団法人筑波メディカルセンター筑波メディカルセンター病院救急診療外来
六本木 陽子 公益財団法人筑波メディカルセンター筑波メディカルセンター病院救急診療外来
小林 智哉 茨城県立医療大学 保健医療学部 放射線技術科学科
三澤 雅樹 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生命工学領域 健康医工学研究部門
鷲尾 利克 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生命工学領域 健康医工学研究部門
新田 尚隆 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生命工学領域 健康医工学研究部門
Juan Carlos Aguilar Lopez 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生命工学領域 健康医工学研究部門
高田 尚樹 国立研究開発法人 産業技術総合研究所エネルギー・環境領域 省エネルギー研究部門
大山 英明 国立研究開発法人 産業技術総合研究所情報・人間工学領域 インダストリアル CPS 研究センター
沼野 智一 東京都立大学大学院 人間健康科学研究科放射線科学域
原 秀剛 北里大学 医療衛生学部 医療工学科 診療放射線技術科学専攻
新井 知大 駒澤大学 医療健康科学部 診療放射線技術科学科
山田 武 GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 CT 技術部 CTM グループ
中山 幸久 株式会社ピュアロンジャパン 環境・開発 中央研究所 メディカル事業部
株式会社フォーカスシステムズ

Mobile Stroke Unit

当院、脳神経内科では脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の治療成績を改善する新しいプロジェクトに取り組んでいます。
脳卒中の治療は一刻を争います。小型の頭部CT装置と遠隔通信装置を搭載したドクターカーにより、様々な地域の救急現場において、迅速な診断と治療及び最適な搬送先決定が可能になります。

最も迅速な対応を必要とする脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、時に命の問題になります。この解決として発症から治療開始までの時間をいかに短縮するかが重要ですが、
①救急要請現場で脳卒中または各病型を疑えるか
②疑えたとして適切な治療が可能である病院を選択できるか
③遠距離の場合はその分治療開始が遅れた場合、搬送中に急変する
などの大きな問題があります。そこで私たちは究極のドクターカーともいえる、小型の頭部CT装置を搭載し通信装置を配備したドクターカー(以下MSU:Mobile Stroke Unit)の開発とこのインフラ構築のプロジェクトを立ち上げました。世界各国では欧米を中心に約40か所で頭部CTを搭載したドクターカー(MSU)が運用されています。

国際的なMSUに関する組織としましてはPRESTO (https://www.prestomsu.org) があります。そこでは各国のMSUの取り組みにつきまして様々な情報交換がおこなわれております。私どもの日本の取り組みにつきましてはPRESTO事務局から歓迎をうけ、会員登録を受けていただきました。

これにより治療開始までの時間が半減することが示されていますが、日本にはMSUは普及されておりません。私たちは新型のCT装置を導入し、日本に適合したMSUを開発します。ニーズ調査として、これまで全国の救命救急センター(n=163) や脳卒中専門病院(n=247)、更に消防本部(n=584)を対象にアンケート調査を行いましたが、各地域で非常に高いニーズがあることが分かりました。

【アンケート結果】※IDとパスワードが必要です

本プロジェクトを進めることは国民の健康長寿につながります。さらに災害医療にも役立つことが期待できます。またアジアはMSUがほとんど普及しておらず事業化も考えています。

MSUの治療予後と費用対効果

MSUの長期予後の改善効果については、治療開始時間が半減することが明らかになる一方で、なかなか示されませんでした。しかし今回2020年の国際脳卒中会議(ISC)でドイツからMSUの予後改善効果が発表されました。
https://www.tctmd.com/news/mobile-stroke-units-berlin-led-faster-care-better-outcomes

米国の研究、BEST-MSU(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02190500)でも現在検討されています。費用対効果につきましては、距離と搭乗スタッフを視点とした検討がドイツから発表されています。

Benefit-costratios with different staffing scenarios and average operating distanses
異なったスタッフの組み合わせによる費用対効果と距離による有用性
Scenario:シナリオ
『Dietrich, Cerebrovasc Dis 2014』

しかし費用対効果には様々な因子が影響します。またそれは各国・各地域で異なりますので、地域ごとに検討する必要があります。一般的には、MSU導入には1億~2億円が必要で、維持管理にも費用がかかります。効果を示すには長期的、かつマクロ経済的な視点で検討する必要があると考えています。

MSUの運用-地域でも大都市でも

MSUは地域、地方都市周辺で大いに活躍することは明らかですが、大都市でも役立ちます。都市部からの最初の論文はドイツ・ベルリンから出ています。ニューヨーク市マンハッタンでは3台のMSUが稼働しており、3台同時に車内でtPA治療が開始されることもあるようで、その有効性が論文でも紹介されています。

MSUとCOVID-19

昨今の世界的な新型コロナウイルス流行の状況で、MSUにおいても感染対策は必須です。そこで我々のプロジェクトメンバーの産業総合研究所健康医工学研究部門 三澤 雅樹を中心に、CT被検者に対するCT用感染防御カプセルを開発しました。更に「胸部迅速診療のための自立型X線CT搭載遠隔診療車」としてシステムの構築を進めています。

遠隔作業支援システム

現場でのCT撮影や超音波検査などの作業を、遠隔(病院)で支援するために、プロジェクトメンバーの産業総合研究所インダストリアルCPS研究センター 大山 英明を中心に「光学シースルー型HMDを用いたテレイグジスタンス型遠隔作業支援システムの開発」を行っています。これによりCTや超音波に不慣れな技師や医師でも円滑な操作が可能になります。


ご挨拶

ご挨拶(動画)はこちらから視聴できます。

CT搭載救急車シミュレーション(2020年2月17日撮影)

廣木 昌彦 (Masahiko Hiroki, M.D., Ph.D.)
筑波メディカルセンター病院
脳神経内科 専門部長

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