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診療科の紹介

胆石の日常診療


図1 胆石と胆汁の通り道

胆石は、胆汁の通り道(肝臓内の肝内胆管→胆 管・胆嚢→十二指腸乳頭)に発生する結石のことです(図1)。よく聞く病名ですが、実は結石の存在する場所により3種類に分かれています。「胆石」というと、一般的には胆嚢に生じる胆嚢結石のことを指します。他に胆管結石や肝内結石があります。今回は、胆嚢結石と胆管結石についてご説明します。



図2 摘出した胆嚢結石

胆嚢結石は、無症状で経過することが多いので すが、年間数%の頻度で症状が認められるとの報告があります。食後の心窩部痛(みぞおち)や腰背部痛が比較的よくみられる症状です(胆石発作)。「食後に胃が痛いな」と感じている方は、ぜひ一度、 腹部超音波検査をお勧めいたします。昔から危険因子として、50代、女性、肥満、白人、経産婦などが知られています。脂質の多い食事が発作につながることが多く、有症状の方には特に、食事制限をお勧めしています。治療は、無症状であれば治療せず経過観察のみ行います。有症状の方に対しては、症状が繰り返すことや、胆嚢炎の原因となることから、手術により胆嚢ごと胆嚢結石を摘出します。当院での胆嚢摘出術は、9割以上の方で腹腔鏡を用いています。4日間程度の入院で、年間約90-100件の腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。手術時間は、1時間程度で終了する方が大半です(図2)。一方、健診で腹部超音波検査を受ける機会が増え、無症状の胆嚢結石の方が多く発見されています。結石が大きかったり、複数結石が胆嚢内に充満していたりする方は、胆嚢壁が厚くなることがあり、胆のうがんと区別が難しかったり、超音波検査 では詳細な検討ができなかったりする方がいます。そのような方では、無症状であっても患者さんとご相談の上、手術を行うことがあります。

胆嚢結石の他の問題点は、胆嚢炎の原因となることです。最近の胆道感染症治療ガイドラインでは、胆嚢炎に対しての早期の手術治療が勧められていますが、様々な合併症を抱える高齢者や、心筋梗塞などで抗血小板薬治療が行われている患者さんでは、緊急手術が適していない場合があり、治療に難渋し入院期間が長くなることがあります。何度も胆石発作や胆のう炎を繰り返した後には、胆嚢周囲に癒着が生じ、腹腔鏡手術では危険な場合があり、安全を優先し開腹手術で行う場合があります。そのため、有症状の胆嚢結石の方は、胆嚢炎になる前の予定した手術治療をお勧めさせていただいています。



図3 総胆管結石のMRCP像(A)、ERCP像(B)
A:MRCP(MR胆管膵管撮影)で下部胆管に結石あり
(黄色矢印)
B:特殊内視鏡での結石摘出像
(結石;黄色矢印、専用 バルーン;赤矢印)

胆管結石も無症状であることが多いのですが、採血検査での肝機能障害の指摘をきっかけに発見されたり、腹部超音波検査で胆嚢結石が発見され、精密検査でさらに胆管結石も見つかったりすることがよくあります。結石によっては、胆嚢結石が胆管に落下し、胆管結石となることがあります。胆管炎を伴って発見されることも多く、その際には、腹痛、発熱、吐き気、黄疸などの症状がみられます。特に高齢者や糖尿病、経口ステロイド薬投与中などの方では、胆管炎が重篤化し、残念ながらお亡くなりになる方もいます。よって、胆管結石では無症状でも、検査ができないほどの高齢者や治療を希望されない方以外は、内視鏡での結石の除去が勧められます。胆管結石の治療は、内視鏡的に治療することが 多く、特殊な状況以外は現在ではほとんど手術を行うことはありません。胆管や膵管の検査治療の ための特殊な内視鏡で治療を行います(図3)。十二指腸乳頭から総胆管へガイドワイヤーを挿入し、胆道で一番狭い部分である十二指腸乳頭を、専用 バルーンを用いたり、切開したりして広げ、結石を摘出します。巨大な結石では、総胆管内でバスケットカテーテルを用いて砕き、細かくして摘出します。また、一度の治療では結石が除去できないこともあり、複数回内視鏡治療を行うことがあります。


胆管結石のもう一つの問題点は、結石が小さい場合に十二指腸乳頭で引っ掛かり(陥頓)、主膵管からの膵液の排出が障害され、膵炎になることがある点です。胆管結石の治療と膵炎の治療を並行して行うことになり、入院期間が長くなる傾向があります。また、胆嚢結石と胆管結石が同時に発見された際は、再び胆管へ胆嚢結石が落下する可能性があり、内視鏡による胆管結石治療を行い、できるだけ速やかに胆嚢摘出術を予定させていただいています。

胆石の治療の一般的な内容をお伝えいたしました。まれに、胆石ではない病気(胆管がん、膵胆管合流異常症など)が発見されることもありますので、健診で肝機能検査異常値の指摘のあった方や食後の胃痛などをお感じの方は、かかりつけ医の先生方からの紹介で、ぜひ当院へご相談ください。

本内容は病院広報誌「アプローチ」(2020年1月発行)の“ドクターのリレー講座”でご紹介したものです。

消化器外科 池田 直哉

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