「紡ぎの庭」はこうして誕生した

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「紡ぎの庭」の誕生秘話

皆さまに“安らぎの場”を提供したい･･･「紡ぎの庭」はこうして誕生した

整備される前の病院前のペデストリアンデッキ（以下、遊歩道）は、松が枯れ、根だけが露出したツリーサークル（花壇）や朽ちたベンチが所々にあるだけでした。

（公財）筑波メディカルセンターは病院の第5次整備計画を機に、病院前の遊歩道にも目を向け、病院を利用する患者さんを始め、ご家族や地域の皆さまに”安らぎの場を提供したい”という願いから、2008年4月、つくば市に許可を得て、NPO法人つくばアーバンガーデニング（以下、TUG）と協力し、遊歩道の整備に乗り出しました。
そして、雑草とり、土づくり、花壇デザイン、花苗の手配などを進め、初めての花植えの日を迎えました。花を植え替えられたのは5つの花壇だけでしたが、美しく生まれ変わった遊歩道には、早速、患者さんたちがくつろぐ姿が見られるようになりました。

更に病院前の遊歩道を花でいっぱいにして、”安らぎ”や”憩い”となる場所をもっと増やしたい…との思いが強くなりましたが、そのためには大規模な工事が必要になります。そこで「緑のデザイン賞」（第一生命、都市緑化基金）への応募が提案されました。
この賞は「緑豊かな都市環境の形成」を目的とし、その副賞として施工費用が助成されます。そのため法人はこの賞の応募を決め、蓮見孝教授、渡和由教授のご協力をいただき、TUG関係者、筑波大学「アート・デザインプロデュース演習」の学生 、小木野貴光（一級建築士・筑波大修士課程修了）、岡田新一建築設計事務所（TMC の新築・改修設計担当）と様々な分野の関係者が加わり、「紡ぎの庭」検討会が発足しました。
そして2008年10月「緑化大賞」を受賞、その副賞賞金で現在の「紡ぎの庭」を作庭しました。

「紡ぎの庭」誕生をめぐって

「紡ぎの庭」の存在意義～“花の持つ癒しの力”と”交流の場”であるために～

「紡ぎの庭」は四季折々の花を咲かせます。陽気の良い日には、患者さんが職員と一緒にお庭を散策している光景を目にします。
地域の方からも「とてもきれいな花ですが、これは何という花ですか」「良い香りだけど、どこから香るのかしら…」などお声かけをいただくことも多く、スマートフォンを片手に写真を撮っている方もいらっしゃいます。

また毎年6月には、TUGの皆さまのご指導のもと「紡ぎの庭」に咲いているラベンダーを使い、職員や患者さんが一緒にラベンダーステックを作っています。入院患者さんは、一時的とはいえ「入院」という閉鎖的な空間に身を置いているため、一歩外に出て、モノづくりを行うことで、地域とのつながりを感じたり、気分転換を兼ねた交流の場としてご利用いただいています。このラベンダースティックは、病院玄関などに飾り、来院者に香りで癒しを届けてくれています。

紡ぎの庭のお花を見た入院患者さんから、以前このようなお手紙をいただきましたのでご紹介します。（一部抜粋）

「紡ぎの庭」作庭から十数年が経過した今でも、皆さまに安らぎを届けられる”庭”として存在しています。

社会的な役割として･･･

「紡ぎの庭」は、就労支援施設の皆さまにもお手伝いいただいています。
同じ土を使い続けると、栄養分がなくなってしまいます。そのため土に肥料や栄養剤を混ぜ込み、土を再生させる作業や、以前は花壇への水まきなども行っていただき、様々な作業に力を貸していただいています。
就労支援施設の皆さまにとっても、「紡ぎの庭」を通して地域とのつながりを感じていただける一つとしても存在しています。

「紡ぎの庭」を守り続けるために、皆さまの継続的なご支援を必要としています

当法人は「紡ぎの庭」を守り続けるために、毎年2回（春と秋）植え替え行っています。
美しい庭であり続けるために、全体的なメンテナンスも欠かすことはできず、年間約200万円の維持管理費用がかかっています。
また作庭以降、長い年月が経過し花壇からあふれている草花や大木になっている植木の剪定など綺麗に整備し、全体的なメンテナンスを実施するための費用が必要です。

また近年は、経年劣化による各ベンチ座面の腐食が進み、ゆっくりとくつろいでいただける環境が損なわれつつあります。
毎年、香りで癒しを届けてくれていた、スタージャスミンで覆われた8角形のパーゴラも木枠が腐食してしまったため、2021年11月に上部分をカットせざるを得なくなり、景観が寂しいものとなってしまいました。

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